【建設現場入門⑪】図面の理解 – 仕上げからの逆算と使う人が見やすい表現
図面って何?どう読めばいい?施工管理にとって図面とは?
この記事では、建設現場で使う図面の種類と、最も重要な考え方「仕上げからの逆算」について解説します。図面の本質を理解すれば、建設の難しさと面白さが見えてきます。
図面と聞いて何をイメージする?
図面と聞いて、あなたは何をイメージしますか?
- 緻密なイメージ?
- 専門的なイメージ?
- むしろ何もイメージできない?
建設現場で使う図面について学びましょう。
この研修の目的
図面と言ってもたくさんの図面があります。
その中でも今回は施工管理が扱う図面について深掘りをします。
図面の大分類:設計図と施工図
施工管理が扱う主な図面は大きく2つに分類されます:
- 設計図
- 施工図(具体図、平面詳細図、割付図、製作図など)
1. 設計図
設計図とは
設計者が作成した図面で、全ての基本となります。
この設計図を起点に、実際に建物を作るさまざまな図面が作られ、運用されます。
設計図の3つの分類
設計図は大きく分けて3種類に分かれます
1. 意匠図
その名の通り、設計者の頭の中にある建物のイメージを表現しています。
表現している内容
- 形
- 色
- 素材
- 寸法
2. 構造図
意匠図に表現した建物の構造を具体的に表現しています。
表現している内容
- 骨組みの素材(コンクリートなのか、鉄骨なのか)
- 鉄筋の配置(何ミリのものをどのような形で配置するのか)
- 杭や基礎の種類と形状
- 地震に強く、必要な強度を満たすための骨組みの設計
3. 設備図
設備は大きく機械設備と電気設備に分かれます。
イメージ
- 機械設備:空調や配管
- 電気設備:電線や照明器具
なぜ設備が必要なのか
建物は骨組みと仕上げだけでは役に立ちません。
建物は人が活用するものなので、人が生活するうえで大切な
- 電気を供給するコンセント
- 部屋を明るくする照明器具
- 水回り
- 空気を整える設備
これらが必要になります。
建物ができるまでの流れ(簡単に)
骨組みを作る
↓
配管や配線をして設備を整える
↓
最後にかっこよく仕上げをする
簡単に言うとこんなイメージです。
ここまでが設計図の話。ざっくりと理解しておけばOKです。
現場に行き実際に見てみればよくわかります。
2. 施工図
施工図とは
施工図は、設計者の頭の中を表現した設計図を元に、実際に工事ができるように具体化した図面の総称です。
その名の通り、施工のために書かれた図面です。
この施工図は、実際にものづくりをする職人さんが見る図面です。
施工図の種類
1. 躯体図
建物の骨組みを表現した図面
2. 平面詳細図
躯体図に仕上げを加えた図面。どのような仕上げになり、部材同士がどのように構成されているのかを詳細に記載されています。
3. 割付図
仕上げ物の配置を明確にした図面。
対象
- 外壁や床に使うタイル
- 天然の石
- 天井に使うパネル など
4. 製作図
各専門業者が自分たちの工場などで製作してくるものを、どのように作るのかを表現した図面。
製作図の流れ
建物を建設するためには非常に多くの専門業者さんが関わっています。
各専門業者が設計図を確認
↓
製作図を作る
↓
ゼネコン、設計事務所、発注者で確認
↓
仕様を決定
↓
発注
このように様々な図面が建物を立てるためには必要なのです。
図面の全体像
いろいろな図面に関して話しましたが、最初にも話したように、
大きく分けて「設計図」「施工図」に分類され、それぞれがさらに細かく分類されている構成です。
暗記より理解
各図面について細かく説明しても良いのですが、見たことがない図面に関して話してもおそらく記憶には残らないと思います。
そのため今回は図面の「考え方」についてお伝えします。
最重要:仕上げからの逆算
まず押さえるべき「優先順位」
普通に考えると、地震に強くしっかりした建物を作らなければならないので、構造図や躯体図が大切だと感じると思います。
しかし、実際は違います。
考え方はこうです
「仕上げからの逆算」
建設ではなく「建築」をイメージする
建築や建築家と聞いて、どんなイメージが湧きますか?
- オシャレ
- ユニーク
- 奇抜
これらのワードが出てきませんか?
「有名建築物」と聞いてあなたはどんな建物を想像しますか?
建築物の本質
そうなんです。建築物は基本的に仕上げや見た目を優先させます。
もし頑丈さや機能を優先させるならば
- 真四角でゴツい建物
- 外壁はペンキ
- 内装も白や黒のモノトーン
これで良いはずですよね?
でも有名な建物は、
- ユニークな形
- バランスと取れた色合い
- 美しい形の仕上げ
建築って芸術作品の要素も多分に含んでいるんです。
設計の視点
だから建物は、
- 設計者が作りたいと考えている形や仕上げ
- もしくは発注者が作りたいと考えている形や仕上げ
これらを「どうやって叶えるのか?」という視点で作ります。
施工図の優先順位
だから、私たちが主に扱う施工図も意匠優先で考えます。
以下の図面は、仕上げを表す平面詳細図や仕上げの割り付け図から逆算するのが基本です。
- 躯体図
- 設備の納まり図
- 製作図
逆算の考え方
この仕上げを
↓
この割り付けで使うから
↓
下地になる躯体の形状はこの寸法
この順番です。
ここは非常に大切なポイントなので絶対に理解しておいてください。
建設の難しさ:計画と施工の逆転
重要な問題
ここで一つ考えなければならない重要なことがあります。
それは何でしょうか?分かりますか?
それは建物を建設する順番です。
建物はどこに、どのような順番で作る?
建物はどこに作りますか? 更地に作ります。
建物はどのような順番で作りますか?
更地に穴を掘る
↓
基礎
↓
骨組(躯体)
↓
仕上げ
先ほど説明した図面の流れと真逆なのです。
建設の本質
工事というのは、
建物が完成する竣工時の理想的な状態から全て逆算して計画し、着工時は何もない更地の状態から作っていくんです。
なぜ難しいのか
だから計画というのは難しく、施工を進めるとたびたび想定外が発生し、都度話し合いながら建設していきます。
完璧な逆算と計画ができれば誰も苦労はしません。
頑張って仕上げからの逆算をして計画しても、やってみたら想定外が本当にたくさん発生するんです。
建設の魅力
ここが建設の、
- 難しさでもあり
- 楽しさでもあり
- 腕の見せ所でもあります
建設が「経験工学」と言われるのはおそらくここから来ています。
図面についての「考え方」は理解できたでしょうか?
BIMという革命的ツール
少し話はそれますが、この非常に難しい仕上げからの逆算をほぼ完璧に行うことができるツールをあなたは知っていますか?
そう、それはBIMです。
BIMの本質
BIMは二次元の図面情報を三次元にするものではありません。
BIMは、
- 部材に情報を与え
- デジタル空間で着工から竣工までをシミュレーションできるツール
BIMがもたらす変化
だからBIMを導入し本格的に活用することで、事前検討の精度が極めて高くなるんです。
BIMの導入は、
従来「やりながら調整する」
↓
BIM活用後「先に調整してあとはやるだけ」
この状態にできる画期的なツールなのです。
図面チェックと修正のポイント
話を戻します。
図面の種類と図面及び施工との関係性が理解できたのではないでしょうか?
最後にちょっと先の話をします。
それは、あなたが図面チェックや図面修正をするような立場になった時のポイントです。
ここで言う図面は「施工図全般」です。
図面チェックのポイントは何でしょうか?
図面はずっと話しているように、
- 設計者の意図を適切に反映
- 施工性も考える
- 実際にものを作るためにある
そして図面を使う人は作業する職人さんです。
図面チェックの本質
図面チェックのポイントは、この図面の目的とそれを扱う人がわかれば見えてきます。
図面チェックのポイントは「使う人が理解しやすい表現」です。
図面表現の自由度
図面の表現は案外自由
以下のことは案外自由です。
- どこに寸法を入れるのか?
- どの寸法を入れるのか?
- どのように表現するのか?
- 断面図はどの部分を切るのか?
だから図面は、その図面をチェックする人や作図する人のセンスが出るんです。
よくある問題
いい感じに見える図面でも、肝心な部分に寸法が記載されていない。
これは本当によくあります。
そんな図面の場合、職人さんはどうすると思いますか?
施工管理の現場監督から図面データをもらい、自分自身で、
- 寸法を確認する
- 寸法を記入する
無駄ですよね。
良い図面とは
だから職人さんが実際に作るときに必要になる寸法や表現を、あらかじめ理解し記入しておくことが大切なのです。
なぜ使いにくい図面が多いのか
現実
でも実際に現場で使われる図面は、職人さんが欲しい寸法という視点で描かれている図面は案外少ないと思います。
理由
なぜなら作図する人間が、実際に現場に出て働いた経験が少ない(もしくはゼロ)からです。
- 現場に出たことがない
- 職人さんと深く会話をしてどのようにものを作っていくのか理解していない
そんな人が描いた図面は、
- やはり分かりづらい
- チェック項目が多くなる
専門性の弊害
建設業の構造
建設業では、
- 様々な専門業種に分かれている
- いろんな人が狭く深く仕事をしている
専門性が高くなる替わりに、自分以外の工事や管理のことがあまり理解できていません。
図面も同じ
図面ももちろんこれに該当します。
最初から図面ばかり作図している人は、職人さんの気持ちを理解するまでに相当時間がかかります。
施工管理経験の価値
使える図面を作るために
だから、
- 現場を知り
- 図面を使う人の気持になって作図する
これは大切なのです。
その基礎となる経験が「施工管理」です。
遠回りのようで近道
建物を立てるうえで本当に使える図面を作るためには:
「現場理解」
↓
「作図」
この順番が遠回りのようで近道なのです。
あなたへのメッセージ
この研修を受講しているあなたは、「こいつ何もわかってねぇ」と言われないように、
- 実際にものづくりをしている職人さんとたくさん会話をする
- 納まりや施工について深く理解する
全てはそこから始まります。
そしてそのために最も大切なのが、これまで何度もお伝えした「会話力」なのです。
まとめ
図面の種類
現場で施工管理が使う図面には設計図と施工図という二種類の図面があります。
設計図は
- 意匠図
- 構造図
- 設備図 に分かれています
施工図には様々な図面があり、実際に現場でものづくりをする職人さんが見る図面です。
- 躯体図
- 平面詳細図
- 割付図
- 製作図など
重要な考え方
これら図面は全てにおいて「仕上げからの逆算」がポイントになります。
そして施工図は、実際にものづくりをする職人さんが必要な情報を適切に記載することがとても大切です。
施工管理の価値
だから建物を建設するうえで「施工管理」の経験は非常に大切で、すべての基礎になるのです。
ぜひ「会話力」を鍛えて、職人さんや関係者とたくさん会話をして経験と視点を多く学んでください。
大丈夫、あなたはきっと素晴らしい施工管理になれると思います。
応援しています。
理解度チェック
以下の質問に答えられますか?
- 設計図の3つの分類を説明できる?
- 「仕上げからの逆算」という考え方を理解している?
- なぜ計画と施工の順序が逆になるのか説明できる?
- 良い図面の条件「使う人が理解しやすい表現」を理解している?
AIあっきーと対話してみよう!
図面について疑問に思ったことや、もっと詳しく知りたい部分について対話してみてください。
次のステップ
図面の考え方を理解したら、次は工程管理の実践について学びましょう。
次の記事:【建設現場入門⑫】工程管理の実践

